23.絶叫と静寂の衝突点 ―イルミネーションの副産物―

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 2003年5月に大規模な複合施設「LaQua(ラクーア)」がオープンした、東京ドームシティでの一枚。色鮮やかな景観とは裏腹に、大観覧車を突き抜けるジェットコースター(サンダードルフィン)が、近隣住民を巻き込む騒音問題を引き起こしている。
 興味深いのは、問題の焦点がジェットコースター自体の音ではなく、夜間の乗客の悲鳴である点だ。ラクーアは22時まで営業している上に、水道橋という交通アクセスが便利な立地で、平日の仕事帰りでも気軽に立ち寄れる。日常的にレジャーを楽しむのに最適な場所であり、美しい夜景が集客力を更にアップさせる。ラクーアと住宅地は大通り一本を隔てて隣接し、夜の後楽園では遊びの盛りを迎えた客と就寝を控えた住民とが同じ空間を共有する。日常化されたレジャーが住環境を蝕むことで、両者は正面衝突しているのだ。
 イルミネーションが集客のために闇夜に煌く。しかし、その影には絶叫に怯える住民の姿が映し出されている。
写真原作者:日本大学2年 的野夏彦
2003年6月10日(火)21時30分頃
東京ドームシティ(文京区後楽1丁目)にて撮影

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