21.ああ上野 ―消えそうで消えない西郷会館―

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 JR上野駅不忍口近くにある上野百貨店。1952年、駅周辺の露店約40店を収容する共同店舗ビルとして建てられた。西郷隆盛像の真下に建っていることから、「西郷会館」の名で親しまれている。上野駅は、1964年の大ヒット曲「ああ上野駅」で「おいらの心の駅だ」と歌われた「北の玄関口」。中卒の「金の卵」や出稼ぎ者が降り立つ上野駅は、故郷へ帰る列車の始発駅でもあった。会館内にある「聚楽台」は、そうした上京者達が上野駅に降りた後や向かう前の一時を過ごす食堂として繁盛した。会館は建て替えられることになり、大半の店舗は2003年頃から立ち退いているが、何故か今も数店舗が営業を続けている。
 私たちは調査を重ねたが、関係者の口は堅く、仔細を知ることはできなかった。
 上野には、後背地である東北・信越・北陸・北関東のローカリティが染み込んでおり、それが「上野らしさ」の一部を構成している。大都会の中にあって大衆性(庶民臭さ)と地方性(田舎臭さ)を保ち続ける上野。簡単に脱皮することはできない、ということか?
<写真撮影者:史学科3年 田宮旬>
2005年7月2日(土)11時頃
上野駅不忍口ガード下(台東区上野公園)にて撮影

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