3.持つ者と持たざる者 ―都市底辺の階層分化―

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 隅田川沿いのテラス(墨田区)に、段ボールを水色のシートで覆った小屋が立ち並ぶ。言問橋から白髭橋までの約1.5キロ程の間にざっと250軒。近年の不況でドヤの宿泊料が払えず、対岸(台東区)にある日雇い労働者の街「山谷」(98年No.30)からあぶれてきた者も多い。でも、ここの小屋はかつて新宿の西口地下で見られたダンボールハウス(94年No.17)よりずっと大きく頑強であり、住み心地もよい。月に1度強制的に立ち退かされる以外は、定住し続けることも可能だ。都の「23区内の路上生活者概数調査」によれば、冬場(2月)で3300人(95年)、3200人(96年)、3200人(97年)、4600人(98年)、夏場(8月)で3500人(96年)、3700人(97年)、4300人(98年)、5800人(99年)と推移し、ここ1,2年の急増ぶりに目が止まる。底辺社会が膨らみ始め、ドヤ街居住(銭持ち)層と小屋持ち層と路上生活(何も持たない)層との階層分化が進んでいる。
写真原作者:日本大学3年 秋山徹
1999年10月7日(木)正午
墨田区の言問橋の上から撮影

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