5.拡散で意味を成す広告―駅構内に現れる無数のカメラマン―

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 新宿駅構内の東西自由通路に2021年に設置された、全長45.6mものデジタルサイネージ広告「新宿ウォール456」。巨大な液晶画面の前に大勢の人が壁を作っている。人々のお目当ては、アイドルグループ「King & Prince」のベストアルバム発売の記念広告だ。
 この広告は2023年4月17日-23日の期間中、5時-23時まで繰り返し放映され、SNSで話題になった。この場所を訪れた21歳の女子大生に話を聞いたところ、ここでしか見られない特別な映像を自分で撮影するために、大阪から夜行バスで8時間半かけて来たという。ファン歴7年の彼女は、SNSで得た情報を基に、新宿や渋谷に設置された広告を撮影したりドラマのロケ地を訪れたりして、オタ活(オタク活動)を存分に楽しんだ。
 群がる人々は、写真や動画を撮影する「カメラマン」+記事を書いて媒体に上げる「記者」の役割を果たしている。広告は今や、群衆が撮影した映像と記事の拡散でさえも、作り手によって意図されているようだ。 新宿ウォール456の圧倒的なインパクトと世界一の乗降客数を誇る新宿駅の集客力と拡散力を利用した、現代の広告戦略なのである。
写真撮影者:4年ゼミ生 倪 詩意
2023年4月23日(日)16時30分
JR新宿駅構内(東京都新宿区3丁目38-1)にて撮影

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