3.コロナ禍の喫煙所前の社会風景 ―同じ新宿でも何故違うのか?―

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 新型コロナの感染拡大防止の観点から4月20日(月)から6月30日(火)の間、新宿区が区内に設置している7公衆喫煙所中の5箇所が全面閉鎖された。写真は、新宿駅東口喫煙所を写したものである。上の写真は昼間の様子であり、立ち入り禁止のテープを貼り、カラーコーンとコーンバーも置いて、中に入れないようにしてある。ところが夜になると、下の写真のように閉鎖中の喫煙所の前で少なくない人々がタバコを吸っている。
 5箇所の喫煙所は7月1日(水)から一斉に再開されたが、11月10日(火)か17日(火)のいずれかの21?22時の1時間、後藤ゼミではここを含む3つの喫煙所で喫煙者に関する目視調査を実施した。結果は、「新宿駅西口喫煙所」では喫煙者528人のうち喫煙所の前で吸っていたのは5人。「西武新宿駅前喫煙所」では397人のうち誰一人として前では吸わなかった。他方、「新宿東口喫煙所」では498人のうち78人もの人が前で吸っており、ここ新宿駅東口喫煙所とその他の喫煙所では喫煙所「前」の社会風景に大きな違いが見られた。
 新宿駅東口喫煙所は、歌舞伎町と新宿駅東口を結ぶ位置にあり、歌舞伎町で盛り上がった勢いのまま、複数人で連れだって一服していくケースが多く、解放感のある空間となっている。また、他の喫煙所は360度見渡せるのに対し、ここは180度しか見渡すことができないこともあり、他者からの監視の目をあまり意識せずにタバコを吸うことができる。
 これが、コロナ禍でも、平然と喫煙所の前でタバコを吸えてしまう理由のようである。
(上)写真撮影者:日本大学4年 森本敦也
2020年6月3日(水)13時45分
(下)写真撮影者:日本大学4年 高橋優太
2020年6月15日(月)22時34分
上下共に新宿駅東口喫煙所(東京都新宿区新宿3-38)にて撮影

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