9.「トー横」に集まる人々―自由と管理が併存する広場―

　TOHO CINEMASが入るゴジラヘッドで有名な東宝ビルの横にある広場、「トー横」である。写真には、大勢のトー横キッズ（広場の奥）や段ボールに座ってくつろぐ人々が写っている。
　2020年6月にここで炊き出しや清掃活動を行っていた通称「ハウル」が逮捕され、同じ年の11月に東京拘置所で突然死したことで、「トー横キッズ」は一躍有名になった。だが、この広場には、キッズ以外にも多種多様な人々が自由・解放感や心地よさを求めて集まっている。
　私たちは、10/8（日）17:30-21:30と10/28（土）18:30-21:30に、合計8名にインタビューした。仲間と一緒にほぼ毎日来ているインド人・パキスタン人（週末だけ飲酒）、「ここは特別で居心地がいいので、2週間前から毎日来ている」と語った20代男性（仕事を辞めて大阪から来た）、寂しさを紛らわすため週末だけ通う21歳の女性（IT系の職業）や、LGBTQ、障がい者、ホームレスの人も。長時間いることができ、大半がここを自分たちの居場所と位置付けていた。
　他方で、写真しは黄色ジャケットの警備員も写る。自由と管理が「対抗」する局面に至っていないが、管理・監視の強化は確実に進行中だ。「併存」がかろうじて保たれているのである。