26.借金スパイラルへの入り口 ―多重債務を誘う広告塔―

2002_26_借金スパイラルへの入り口.jpg
 原付のバイクが貸金業者の広告を載せて走っている。場所はJR御徒町駅の南口。小さな店が連なり、多くの同業者がひしめき合うこの街では、細い路地とあふれ返る通行人が目立っている。だからここでは、機動性に長けたバイクが格好な広告媒体となる。
 ここ数年の大手貸金業者の急成長には、目を見張るものがある。武富士、プロミスなど大手5社だけで、業界が有する総貸付残高の60%超を占める。写真のような零細な新規登録業者は生き残りをかけ必死だ。多重債務者にも「無担保無保証」で金を貸す業者が少なくない。その結果、手続きの簡素化も手伝って、自己破産申請数が飛躍的に増大し、2001年は160,419件と過去最高を記録、2002年もそれを上回る勢いで増加中だ(日本金融新聞のHPによる)。多重債務者の多くは、一時的な生活資金不足を高利の借入金で補填したことが発端となって、借金返済のための借金という悪循環(アリ地獄)に陥ってしまう。
 そんな借金スパイラルへの入り口付近で、広告塔バイクが今日も街を駆け巡る。
写真原作者:日本大学3年 藤田真也
2002年7月20日(土)
JR御徒町駅南口付近(台東区上野)にて撮影

地図


大きな地図で見る

プロジェクト