1987年 朝シャン急増

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1987年、朝食を抜いてもシャンプーをするという女子高生が大半を占めているというアンケート調査が出て話題となる。誰がいうともなく「朝シャン」と命名された。当時資生堂が流していた「朝のシャンプー」というCMを女子高生が縮めて云ったという説もある。男の子でも高校生と大学生の4割が毎日、洗髪するという統計が次の年に出た。早速、シャンプー・リンス・トリートメントとタオルのセットが、1989年、デパートの歳末商戦のギフト売り場に登場している。川柳では≪朝シャンを真似て中年、風邪を引き≫と皮肉られた。当時、シャンプーを風呂場で上半身裸になり、下半身が濡れないようにやるという不便さを詠んだものだ。この声が届いたのか、洗面台の受け皿のボウルを深く大きくした新製品が売り出される。≪朝シャン≫は、1987年の「新語・流行語大賞」の新語部門で表現賞を受賞、貰ったのは資生堂商事(株)の営業マンだった。この年、ライオンのCMでは薬師丸ひろ子が「ちゃんりんしゃん」と呼び掛ける。『ちゃんと・リンスしてくれる・シャンプー』、リンス入りのシャンプーのことだった。こうした総合的な効果からであろう、成熟業種と云われたシャンプー市場が1987年は前年に比較して110.8%の売り上げとなる。それ以来、順調に伸び続け1986年を100とすれば2006年で出荷数は164。しかし出荷額はほぼ横ばいで、厳しい価格競争が続いている(経済産業省「化学工業統計年報」)。資生堂は昨年秋高級なイメージを売り物にした新製品を発表したが、50億円の広告宣伝費を投じたと云われる。市場の60%を4つの大手メーカーの9ブランドが占めるという寡占状態で、老舗ライオンは一昨年の秋から自社生産から撤退した。シャンプー・ヘアリンス・ヘアトリートメントの市場は、いま大規模なマーケティング投資がなくては生き残れない熾烈な競争にある。

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