6.街と乙女の事情 ―照らし出された影と陰―

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 「メディアで取り上げるのはやめて」「アキバみたいにしないで」「ほっといて」。
 ここは、乙女ロードと呼ばれる通り。「腐女子」とも揶揄される、アニメ・漫画・BL(美少年同士の恋愛を描いたもの)等のオタク趣味を持った女性達の欲望を満たす専門店が立ち並び、人気男性声優のイベントともなると人の目も気にせず行列ができる。
 東池袋一帯は、サンシャインシティができるまで巣鴨刑務所(拘置所)のある街だった。外国人居住者が多く、行政も積極的な再開発をしなかったため、駅からの導線が存在せず、人の流れが届きにくい。ここは、そうした「影」の性質を持つ地域と言って良い。
 オタク趣味を持ち外見を飾る事もあまり無い彼女達は、メディアが作りあげた「一般的な女性像」と異なり、わが道を行く様に見える。しかし実際は、「陰」の趣味をカミングアウトする事なく「フツー」の女性を演じている。東池袋が持つ「影」の磁場は彼女らの持つ「陰」と重なり、乙女ロードに多くのオタク女性達が吹き溜まる空間を作るのである。
 
写真撮影者:日本大学4年 坂田聡
2006年7月23日(日) 13時30分頃
乙女ロード(豊島区東池袋3丁目)にて撮影

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