1.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控えて ―排除か包摂か―(2019年度作品)

 小田急百貨店やビックカメラなどが入る「新宿西口ハルク」前の地上2階に架かる歩行者専用のデッキ。店のシャッターが閉まる午後9時頃から、ホームレスの人々が我先にとやって来て軒下に場所を確保し、ひっそりと翌朝まで過ごす。後藤ゼミが3度行った調査では、9人、8人、10人が確認できた。その傍を通り過ぎる人々は、彼らに目をくれることはない。
 東京都は、昼間に目視でのホームレス実態調査を継続しているが、人数は年々減少している。これは、彼ら/彼女らが地下街や公園から追い出され、見えにくくされている結果でもある。だが、市民団体「ARCH(アーチ)」が2016年1月以降、深夜に数百名のボランティアと共に行っている調査では、毎回都発表の数の2.5倍前後のホームレスが確認されている。
 経済的にも社会的にも最も弱い立場にある人々を、分断・排除して表面を繕う都市にしていくのか、包摂して社会が生み出す構造的な問題の解決を目指す都市にしていくのか。東京2020大会を前にして、東京と市民一人一人に問われることになる。
写真撮影者:日本大学3年 鈴木 七海
2019年1月17日(木)23時39分
新宿西口ハルク(東京都新宿区西新宿1-5-1)前にて撮影

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