1.めまい ―「東京」ラビリンス―

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 大都会の片隅で、ふと「めまい」を覚えることがある。大きな歯車が絶えず猛スピードで回り続け、人々もそれに合わせてせわしく動き回る。自分を振り返ることもままならず、他者との機械的な接触を強要されもする。「ここはどこ?」「私はだれ?」
 巨大で複雑な社会環境の中で、人々は現実感覚を喪失し、なんとなくそこに存在するモノと化す。大都会の無機質でアノミックな空気をいっぱい吸い込みながら、漂流を続ける「東京人」。精神の過疎化は勢いを増すばかりだ。だから、時にはしっかと立ち止まって、「東京」を、そして自分自身を見つめ直してみよう。私たちは、迷宮(ラビリンス)のような「東京」で、「めまい」を覚えつつも、自分自身のアイデンティティを見い出していかねばならないのだから・・・・。
写真原作者:日本大学3年 吉村仁美

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