22.晴れの日の憂うつ ―「便利=快適」方程式の解―

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 一時として立ち止まることのない街、膨張を続ける「東京」。いたるところで新たな建造物の工事の槌音がけたたましく鳴り響く。デパートやマンションが立ち並ぶこの街にも、新しいアーケードが出来る日が近い。雨の日でも気がねなく買い物ができる便利な環境。だけど、利便性が高まることは、快適性(アメニティ)も同時に高まると言い切れるのか。

 晴れの日は心も晴れ晴れしくなるし、雨の日は湿りがちになる。日毎に、天気模様によっても変わる、私たちの気分。アーケードの下では、確かに雨の日だって快適だ。だけど、晴れの日の晴れ晴れしさはあまり感じられなくなるだろう。

人工的な環境の整備によってアメニティは高まるけれど、それと引き換えに失われていくものも決して少なくはない。
写真原作者:日本大学3年 小澤達也

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