13.神様の不透明化 ―明治神宮と明治天皇の関係性―

2003_13_神様の不透明化.jpg
 明治神宮での神前結婚式の1コマ。神前式の人気が下火になっている中で、年間約千組もの式が行われる。初詣参拝客数23年連続全国1位(三が日で約300万人)という数字にも、最も有名で人を集める神社であることが現れている。1920(T9)年、「明治天皇を神として永遠に祀りたい」との「国民の熱誠」により創建された明治神宮。天皇の神聖性・カリスマ性は絶大なものがあった。それは「神宮の森」を構成する10数万の木々のほとんどが献木ということからも読み取れる。しかし今、明治神宮の祭神が明治天皇である事を知っている人は、意外なほど少ない。私たちが2003年10月21日(火)に実施した参拝者への調査(10歳代-70歳代を任意に抽出)では、100人中実に71人が知らなかった。「神様としての明治天皇」は、もはや人を惹きつける主要なファクターではなくなっているのである。
 交通の至便性、広大で豊かな緑、明治神宮やその参道(表参道)を含めた原宿のブランド性といったものが、神の存在を不透明化してやまない現代人をここへ集めさせている。
写真原作者:日本大学2年 矢場聡美
2003年5月24日(土)15時半頃
明治神宮(渋谷区代々木神園町)にて撮影

地図


大きな地図で見る

プロジェクト