29.おばあちゃんたちの原宿 ―高齢化社会の行く末―

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 ここは、おばあちゃんたちの原宿と呼ばれる巣鴨のとげぬき地蔵である。足元が悪いにもかかわらず、年配者が続々と訪れて祈りを捧げて行く。
 あの戦争(敗戦)からはやくも半世紀が過ぎた。今や日本は豊かな国として、世界経済に君臨している。平均寿命も世界でトップクラスとなり、日本ほど住みよい国はないとまで言われるようになった。しかし成長の反面、失われたものは多い。高齢者の一人暮らしの増加、コミュニティの崩壊による近所付き合いの希薄化など、人のぬくもりがどんどんと薄れていっている。そんな中で、ここはおばあちゃんたちが同世代の人々と会え、心の隙間を埋めることのできる数少ない「高齢者の聖地」となっている。  今日も、そして明日も巡礼者は絶えないだろう。高齢化社会の行く末を「暗」にしてしまってはならない。
写真原作者:日本大学2年 古屋琢磨

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