12.上野の森のマンガ ―広がる美術?― 

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 眼光鋭い『バガボンド』の主人公・宮本武蔵が筆で大きく描かれた絵の前に、普段は美術館に足を運びそうにない若者の長蛇の列。これは、「井上雄彦 最後のマンガ展」を開催中の上野の森美術館へ入場しようとする人々の列で、同美術館にとって過去最高入場者数の10万4587人を記録した(会期は2008年5/24-7/6)。
 展覧会に関する宣伝は、開催初日直前に発行された単行本のラストページで「いざ、行かん」と書かれたラフ画のみを発表する告知方法が採られた。その結果、マンガの愛読者に足を運ばせることに成功し、今まで平面で読んでいたマンガを全身で読む新ジャンルの  アートとして、美術界とマンガ界双方に大きなインパクトを与えた。
 私たちのインタビューに企画者は、「美術館の客層が拡大することを期待した」と語ったが、ここに並ぶ若者は、「芸術の森」に身を置くファイン・アート愛好者ではなく、井上雄彦に導かれたマンガ愛好者である。果たして、美術とマンガは融合し得るのか?
写真撮影者:日本大学2年 小田桐 晃子
2008年6月15日(日)9時47分
上野の森美術館(台東区上野公園1丁目)にて撮影

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