47.東京新聞 コレクション

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 全国に約二千社ある酒の蔵元の八割がこの大学の卒業生だ。東京農業大学(世田谷区)の「食と農」の博物館に設けた一画に酒瓶が整然とあった。醸造科学科など教え子の百三十社、二百八十本を展示。梅室英夫准教授・博物館副館長は「後継者養成の使命もあり、昔は蔵元の子弟しか入学させなかった」という。
 「八海山」「越乃寒梅」「久保田」などの名酒が並ぶ。さすが卒業生、中には「大根おどり」の銘柄も。農大名物、ラベル上で学ランを着た学生が踊っていた。
写真撮影者:戸上航一
掲載日:2008年9月11日

後藤ゼミ版 「農大色の彩現―光に乗せたメッセージ―」

 光に照らされた瓶の色彩が、親子のシルエットを映し出す。ここは東京農業大学(以下農大)が運営する、「食と農」の博物館。一際目を引くのがこの酒瓶展示コーナーだ。
 農大は全国唯一の醸造学科を持つ大学で、蔵元の8割は農大の卒業生だという。酒造業と農大が密接につながっている。優れた人材が輩出するのは、大学の教育・研究の成果の現れであり、博物館のねらいもそこにある。
 展示されている280本の酒瓶を調べたところ、生産地と瓶の色に相関性があることが分かった(東北は緑、北陸は茶、西日本は黒に偏る傾向が強い)。味は勿論のこと、瓶の形やラベルで蔵元の個性を出しつつ、さらに地方色が加味される。
 農大の情報発信の拠点である博物館は、カフェを併設し無料で開放することで、地域住民を気軽に向かわせる。願わくは訪れる子供達を“醸造”したいという大学と卒業生の思いが、ここには込められているのである。

写真撮影者:戸上航一
掲載日:2008年9月11日 夕刊
東京農業大学「食と農」の博物館(世田谷区上用賀2丁目)にて撮影

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