3.神保町で孵化した卵 ―吉本の東京進出―

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 2007年7月、神保町会館の向かいに誕生したばかりの不思議な建物。胡蝶蘭が並んでいる。「孵化する卵」をモチーフとするこの神保町シアタービルには、小学館の運営する映画館と吉本興業の神保町花月、そしてNSC(吉本芸能学校)が併設されている。
  1922(T11)年、吉本興業が東京進出を果たし、この地に神田花月亭を建てた。当時の神保町界隈には古本屋以外に寄席や演芸場、映画館がいくつも存在し、劇場文化が花開いていたのである。しかし翌年の関東大震災によって花月亭は潰れ、映画館も次々と閉館していき、吉本も関西へ戻らざるを得なくなった。
 そして現在。お笑いブームを背景に再び東京進出を活発化させた吉本が、小学館と組んで産み落としたこの卵。花月亭の建っていた時代と違い、人通りは少なくなったが、「劇場の街」を甦らせ、自らの東京進出の軌跡をつなぎ合わせるために、あえて同じ場所で孵化させた。さて、雛はどんな鳥になるのだろう。ヨダカ、フラミンゴ、それともペンギン?
写真撮影者:日本大学2年 鈴木 慎也
2007年7月16日(月)13時30分頃 
神保町シアター前(千代田区神田神保町1丁目)にて撮影

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