7.男女を結ぶ赤い線 ―囲われた公娼地―

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 閑静な住宅街に突如現れるネオン街。150軒以上のソープランドが密集する「吉原」の光景である。街には送迎車と客引きの男性ばかりが目につき、風俗店以外はほとんど無い。
 吉原は、都の条例により営業時間が日の出から深夜0時とされ、客引き行為にも細かい規制がある。さらに全店舗で特殊浴場防犯組合が組織され、過剰請求など不当な営業をする店は排除される。客はこうした“吉原ルール”の中で、安心して「遊ぶ」ことが可能だ。
 そもそもここは江戸唯一の公娼地として発展し、公娼制度が廃止された後も“赤線地帯”として売春行為が公認された地。1958年の売春防止法施行後も、法の網をくぐり形態を変え、今日にあっては都内で唯一ソープランド営業が許可される地となっている。そこには、売春を「必要悪」と認め、1箇所に押しやって管理しようとする為政者の「隠れた意図」が流れ続けている。江戸時代から「特別」であった吉原のありようは、現在においても維持されているのである。
写真撮影者:日本大学4年 高野美香
2004年6月25日(金)23時50分
吉原(台東区千束4丁目)にて撮影

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