11.すもも祭 ―「武蔵国の国府の中心(=府中)」性―

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 120もの露店の軒先にずらりと並ぶすもも。甘い香りが漂っている。府中市の大國魂神社で毎年7月20日に開催の「すもも祭」である。1日で7万人もの人々が訪れるという。
 府中は、律令制が敷かれた7世紀中頃以降、都(畿内)から遠く離れたど田舎の東国(あづま)とは言え、中央から国司が派遣されて祭祀・政治・軍事を執り行う武蔵国(東京都・埼玉県と神奈川県横浜市・川崎市あたり)の国府(官庁の所在地)であった。国府の中心(だから「府中」)には総社(創建が古く格式の高い武蔵国の一宮から六宮の祭神を集めて合祀した神社)が置かれ、これが後に大國魂神社となった。つまり、江戸城が築かれるずっと前の「東京の政治・経済・文化の中心地」は、紛れもなくここ府中だったのだ。
 「すもも祭」の他に、「くらやみ祭」「青袖祭」「杉舞祭」「八朔相撲祭」「栗祭」等々、ここでしか見られないユニークな祭りが多いのも、歴史的に形成された外へ向けての発信力と内に引き寄せる吸引力の大きさを物語っている。
写真撮影者:日本大学4年 中川瑠海子
2010年7月20日(火)18時32分
大國魂神社(府中市3丁目)にて撮影

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