15.お祭りへ行こう! ―浅草の“ハレ”間―

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 「ワッショイ! ワッショイ! ワッショイ!」。

 三社祭りの祭囃子が、浅草の町一帯に響きわたる。
 かつての祭りは、宗教儀式であり、また常日頃から温存していた人々のエネルギーを爆発させる場でもあった。「ハレ(非日常)」の場である祭りがあったからこそ、「ケ(日常)」の生活にメリハリを与えてきたのである。
 現代の都市的生活様式では、祭りの重みは失われつつある。「ハレ」と「ケ」のサイクルは、一日のなかに集約されてしまったかのようだ。仕事や学校(「 ケ」)から解放されると、個人個人がアフター5や放課後(「ハレ」)にバラバラに散っていく、というように。
 それでも、三社祭りが浅草っ子ばかりか東京人の心を引きつけてやまないのは、やっぱり祭りの中に溶け込むことによって、都会での日常を忘却できるから。現代社会の様々なしがらみや喧噪から一時の解放を求めて、人々は祭りにやって来る。

<写真原作者:日本大学大学院M1年 上村暁>

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