31.交番の横で演じ続ける紳士淑女 ―演出家は台東区です―

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 ご存じでしたか、交番の隣や近くに公衆トイレが案外多いという事実を。しかも、どうしたわけか台東区に多く、区が管理する70ヵ所中(公園トイレを含む)6ヵ所が該当します。
 写真がその一例で、白塗りの壁に美術作品のようなペイント、まるでオブジェのようです。しかし、これが立派な公衆トイレで、隣では交番がでんと構えています。
 台東区が2003・04年に実施した公衆トイレの利用実態調査によると、女性の利用が全体のわずか12%にすぎず、人目につきにくいトイレを敬遠する傾向が強いことがうかがえます。ということは、交番の隣なら女性も安心して用を足せるというわけです。
 それにしても、一体何故このような奇抜なデザインに? 実はこのトイレ、バブル最盛期の1989年に設置され、区は取り壊さずに良い景観づくりの資源に位置づけました。見事な発想の転換です。分かりにくく、なかなか利用されていないトイレですが(12時間調査値で70中56位)、街角のオブジェとして立派に演じ続けているのです。
写真撮影者:日本大学3年 小田桐晃子
2009年9月13日(日)10時00分
警視庁蔵前警察署蔵前二丁目交番前(台東区蔵前2丁目)にて撮影

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東京新聞 壁画

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 虹が架かるほほえましい絵に、駆け込む男性が一瞬溶け込んだ。練馬区石神井町・長光寺橋(ちょうこうじばし)公園内のトイレ。落書きは美観を損ない犯罪も招くと、練馬区が一昨年、公園リニューアル大作戦を実施。地元の児童・生徒らが描いた。以来「落書きがなくなった」と同区公園緑地課。 昨年末に第二弾、光が丘にある夏の雲公園内の高さ一メートル、幅計八十八メートルの壁面に、小学校五校の児童約二百六十人が、「夏」をテーマに絵筆を振るった。アートが落書きを追い払っている。
写真撮影者:嶋邦夫
掲載日:2008年5月31日

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