22. 廻れないコマ-歌舞伎町の黒子役の終焉-

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 黒一色の壁に「KOMA」の文字と独楽の絵。道行く人々は、一瞥を投げることさえない。
 日本一の盛り場・歓楽街となっているこの一帯も、戦前は寂れた住宅街で、1945年4月の空襲で焼け野原と化した。ここに歌舞伎劇場を核とする一大興行街の建設を目指した復興計画が動き出し、歌舞伎劇場建設は中止になったものの、1947年には「新宿歌舞伎町」へ町名変更の手続きが取られ、歌舞伎劇場のない歌舞伎町が誕生した。
 この一角に、阪急や宝塚歌劇や東宝を興した小林一三(57年2月没)が新宿コマ劇場を建設したのは、1956年。コマのように廻る3重の円形舞台から、「コマ劇場」と名付けられた。今日、「演歌の殿堂」と称される(1957年以降の全687公演を分類し集計した結果、演歌ショーが47.2%を占めた)が、最初の頃はミュージカルや喜劇の公演が主であった。
 第1回公演は、菊田一夫総指揮によるミュージカル「廻れ!コマ」。それから51年後の2008年12月31日、コマ劇場は黒子役からも降りて幕を閉じる。コマはもう、廻らない。
写真撮影者:日本大学3年 長森 佑介
2008年7月31日(木)16時42分
新宿コマ劇場(新宿区歌舞伎町1丁目)にて撮影

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