8.愛してない人と、ピーしてる? ―見えないコードによる束縛―

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 終電間際の地下鉄ホームでの出来事。別れを惜しむアベックの胸元で“ピー”というPHSの呼び出し音。慌てて電話にでる彼氏、そして白ける彼女。いつでもどこでも連絡がとれる、便利な反面の不便さである。容赦なく追ってくる電波は、時としてその場にいる人間とのつながりを切り裂き、断絶してしまう。
 コードレス電話が普及する現代、人々は能率性・即時性を求めるあまり、絶えず把握され、補足され合い、プライベートな時間さえ、ままならなくなる。
 文明の利器によって、私たちははたして自由になったのだろうか。むしろ、拘束度は加速度的に増大している、と言えるのではなかろうか。
<写真原作者:練馬区立女性センター 高村弘晃>

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