2.昭和モダンな浅草駅ビル ―戦略としての東・北部関東広域の中心地化―

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 半円アーチ形の連続窓や時計塔が目を引くこのビルは、2012年東京スカイツリーのオープンに合わせ、1931年開業時の外装に戻した東武伊勢崎線浅草駅の駅ビルである。欧米で流行したアール・デコ様式で建設され、東日本初の百貨店併設ターミナルビルとなった。
 かつて浅草は、日本橋と共に江戸一の繁華街であり、明治以降も初物づくしのモダン東京の最先端の街であったが、いつしか観光都市に特化してしまった。
 後藤ゼミでは、浅草駅ビルを利用する10代から80代の男女99人に街頭調査を行った。地方からの観光客の多くはリニューアルを知らなかったが、沿線住民を含む地元の人々には、「若返った」「綺麗になった」「オシャレになった」と好意的な意見が多かった。
 埼玉・群馬・栃木を結ぶ路線のターミナル駅として、相互直通運転する地下鉄を利用し浅草を通らない沿線住民をも吸引して、隣駅のスカイツリーと共に浅草・押上一帯を関東の東・北部における中心地に仕立て上げるという東武の意図が、透けて見えてくる。
写真撮影者:日本大学4年 刈谷敬祐
2014年8月3日(日)18時33分
東武伊勢崎線浅草駅前(東京都台東区花川戸1-4-1)にて撮影

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