16.寄席て 笑って 末広がって ―落語に見る江戸っ子気質―

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 江戸情緒を漂わせる佇まい。ここは新宿にある演芸場「末広亭」。落語をはじめ漫才、講談、漫談、曲芸といった寄席が行われる。現在、「定席(毎日開演される常設の)寄席」は東京の区部にのみ存在し、ここ新宿を含め、上野(鈴本演芸場)、浅草(浅草演芸ホール)、池袋(池袋演芸場)、永田町(国立演芸場)の計5箇所にある。
 落語は、上方落語と江戸落語の2つに分類される。上方落語は野外で噺手が道行く人を巻き込み笑い話をしたのが、江戸落語は上方から来た噺手がお花茶屋の座敷を舞台にしたのがはじまりであるという。その後、江戸落語は時代を経て、定席寄席という形で定着し根づいた。上方の影響を受けつつも、それを取り込み発展させていった江戸落語。江戸で体系化されていったからこそ、落語という大衆文化が今なお東京で定席寄席として残っているのだ。柔軟な発想と異文化を取り込む懐の深さ。私たちが忘れかけていた江戸・東京人の特性が、落語の中に脈々と受け継がれているのである。
写真原作者:日本大学3年 城田祥子
2003年8月1日(金)12時頃
新宿末廣亭(新宿区新宿3丁目)にて撮影

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