26.若奥様の行列 ―学校歴にもブランド信仰―

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 靖国神社そばの、名門私立幼稚園の下校風景である。母親たちは、園児が着ている制服と同じような地味なブランド品で身を固めている。そしてここでは毎朝、まるで儀式のようなパターン化された送迎風景が見られる。校舎まで子どもを送り届けると、最短距離の校庭中央を歩かずに、"必ず"色分けされた通路を迂回する。校門では、"必ず"前の母親との距離を保ち、"必ず"校舎に向かって順番に美しく一礼をしてから出て行く。
 子供たちは系列の高校まで一貫して通い、大学受験時にはさらなる名門校を目指す。母親たちは、ブランド価値の高い学校歴を幼稚園から子どもに与え、そのブランドの後光で自身の存在をも証明する。この幼稚園で出来上がっている不文律と、それに適合させることでメンバーシップが与えられる母親と子供たち。ブランド信仰に支えられた社会的地位の獲得競争には、どこか悲哀感すら漂っている。
写真原作者:日本大学3年 時田昌彦
2001年7月13日(金)14時 
靖国通り(千代田区九段北)にて撮影

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