19.五色植えの朝顔 ―活気と彩の裏事情―

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 「五色植えの朝顔」の屋台の前で、財布からお金を取り出す女性が1人。後ろでは、既に1鉢購入済みの男性が見つめている。「こっちの方が良かったかな?」とでも思っているのだろうか。毎年7月6日-8日の3日間、ここ入谷で朝顔市が開かれ、片側3車線の言問通りを封鎖して100近くの屋台が軒を連ねる。珍しくもないたかが朝顔に、1鉢2,000-3,000円という強気な値段がつけられ、3日間で10万鉢が売れる年もあるのだと言う。
 鉢植えの朝顔は、庭を必要とせず簡単に育てられるため江戸庶民に親しまれ、明治になって「入谷田圃」と呼ばれた下町・入谷の植木職人たちによって朝顔市が始められた。一時途絶えたこともあったが、1948年には同じ場所で復活し、以来人気が衰えることはない。
 ところで、本来5色は咲かないのに「五色植え」と称して売っている彼らは、カタギではない。数年前から売り出されるようになり、入谷朝顔組合でも問題になり始めているという。この「微妙な事情」、今のところは朝顔市に不思議な活気と彩を与えているようだ。
写真撮影者:日本大学3年 森 明霞
2007年7月7日(土)14時30分頃
言問通り(台東区下谷2丁目)にて撮影

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