4.神保町の道路脇書棚 ―古書店の知恵の働かせ方―

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 8000冊以上の古書が陳列された横幅30mも続く道路に面した書棚と、1冊の本を食い入るように見つめる中年男性。神保町の古書店街にある、映画やSF関係の書籍を専門に扱った古書店「@ワンダー」の外陳列棚だ。手前の棚の一番上には店の専門分野とは異なる「ノンフィクション」の見出しが見える。
 古書店の多くは「古書交換会」という平日の毎日開かれる古本市場に参加しており、店にとって不要な本を出品し、必要とする本を落札することで店の専門性を高めている。その一方で、こうした専門外の安価な本を中心にした店の外での投げ売りは、神田古書店連盟に加盟する163店舗のうち74店が行っていた。
 店舗間で専門書の交換・再分配を行うと同時に、店先に雑多な本をはき出すことで、顧客を幅広い層に広げて古書を流通・再分配させようともする。どんな古書であろうと無駄にしない神保町古書店街の、共存共栄と生き残りをかけた知恵が「形」になっている。
写真撮影者:日本大学4年 深瀬雄幹
2011年7月28日(木)15時40分
@ワンダー(千代田区神保町2丁目)にて撮影

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