3.彷徨 ―新たな“記号”を求めて―

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 ルイ・ヴィトンの財布にキティちゃん、大きなシャネルのポーチの中からは化粧品やソックタッチが。腕に光るのはロレックス---ここは渋谷・センター街。「番組の取材で・・・」という言葉にあっさりと通学バックの中身をさらけ出す女子高生。それを写すTVのカメラクルー。バックの中からは取材陣の望むものが次々と出てくる。
 フランスの社会学者ボードリヤールは、欲望に基づく記号(物の記号的意味)の消費こそが現代消費社会の特質である、と言った。ただの財布やポーチ(物の実質的な機能/効能)ではなく、それがヴィトンやシャネル、キティちゃんという多くの人々にとって欲望の対象となり得る“記号”だからこそ、彼女たちは手に入れ身につけたいと思うのだ。
 女子高生は、現代社会の落とし子。人より半歩先を行きたい/目立ちたいと、制服(女子高生の記号)に身を包みながら、彼女たちは新しい“記号”を探してさまよい続ける。
写真原作者:日本大学4年 大竹靖規

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