1.万華鏡と多面鏡―異世界への入り口で―

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 壁や天井が鏡で構成され、遠目から見るとあらゆるものを「万華鏡」のように映し出している。曜日や時間を問わず若者でにぎわう「東急プラザ表参道原宿」のエントランスである。最新ファッションに身を包んだ若者が、吸い込まれるように店内に入っていく。
 後藤ゼミの調査では、エスカレーターを上がる半数以上の人が鏡に映る自分を目視していることが判明した。インタビューに応じた月に1回程度ここに来る千葉県在住の20代女性は、初めて上京した時に味わったような異世界感や緊張感を覚えるという。一人一人の目線で鏡を見つめ直すと、「多面鏡」のように自分の姿をあちこちに映し出している。日頃目につかない自らの姿を多面的に客観視することは、自分を磨く第一歩となる。
 東京という舞台で輝く彼女たちは、自身の視線を自分に投じることで他者の視線を意識するようになる。表参道と原宿が合体するこのプラザ(広場)のゲートでは、他者にどう見えるかを自分の目を通して体感し内面にすり込む「儀式」がいつも執り行われているのだ。
写真撮影者:日本大学2年 椿康平
2016年6月30日(木)15時30分
東急プラザ表参道原宿(東京都渋谷区神宮前4-30-3)にて撮影

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