32.狭空間の中のアメニティ ―コンクリート・ジャングルのオアシス―

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 ここは、あるデパートの屋上。彼らは、それぞれ自分達の思うままに時間を過ごしている。読書をする者、煙草を吸う者、ただ椅子に座ってどこか遠くを見つめる者・・・・。
 都会では、この様なビルに囲まれた狭いスペースでさえ、憩いの場と化してしまうのだ。
 「都会人の心理」を研究する岩田紀氏は、「面識のない人々やあまり親密でない人々が多数集まる公共的な場所では、人口・人口密度の増加とそれに追随する様々な要因の働きが混雑感を生じやすい」と言っている。彼らは本当にリフレッシュできているのだろうか?
 都市の魅力は、人口量の多さを抜きにしては生まれるものではないが、反面それにより、人々は常に狭空間に押し込められる結果となり、不快な思いを受ける機会も多くなる。
 ここでほんの一時疲れた心と身体を癒した都会人は、再び高層ビル群の中へと消えて行く。
写真原作者:日本大学2年 増尾徳子

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