21.浅草とサンバの適切な!?関係 ―異文化の土着化―

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 毎年8月下旬に行われる「浅草サンバカーニバル」。華やかなコスチュームに身を包み、熱狂的なリズムに合わせて踊る数千のダンサー達。そこに数十万もの人々の熱い視線が降り注がれる。今年で18回目を数え、下町の夏のフィナーレを飾る恒例行事として定着している。かつて日本一の盛り場だった浅草を再生し活性化させようと、伴淳三郎氏の提言がきっかけで始まったが、リズムにはついていけず、目の置き所にも困ってしまうという人が多く、当初は相当浮いていた様だ。しかし、そこは「お祭り好き」(三社祭・ほおずき市・隅田川の花火大会など)で「新しもの好き」(日本初の映画館・オペラ・レビュー・ストリップなど)の土地柄。遠く離れた異国の祭りなのに、しっかり根付いている。節操はないが、懐が深い。これが、長らく江戸・東京一、日本一の盛り場として、移動性と異質性の高い大量の人々を絶えず受け入れてきた浅草の土壌なのだ。
写真原作者:日本大学4年 鈴木健太郎
1998年8月21日(金)
台東区浅草の仲見世通りにて撮影

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