1980年 松田聖子デビュー

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1980年4月1日、歌手の長者番付ベスト9に位置した山口百恵の引退宣言があった翌月、示し合わせたかのように松田聖子(18)が「青い珊瑚礁」でデビュー。彗星の勢いでヒットを重ね、その年の紅白歌合戦に初出場を果たす。《聖子ちゃんカット》のあどけない表情の少女・・・。彼女が80年代を代表する女性タレントとなり、しかも≪戦後日本の雑誌に最も頻繁に登場した人物≫(大宅文庫調べ・2007年現在)にまで成長することを見抜いた批評家はいなかった。いったい長嶋茂雄や田中角栄や皇太子よりも登場回数がなぜ多いのか。歌手としての才能、あるいは《あなたに逢いたくて》(1996)に代表されるミリオンセラーを実現できるシンガーソングライターとしての力量もあろう。だがそれだけではあるまい。女性としての生き方、大げさに表現するなら「主張」が同時代の同性に大衆的規模で評価されたからではないか。雇用機会均等法世代と呼ばれる女性たち。少しツッパルことで男性に伍して社会的に活躍するジェネレーションのアイドルとして今も機能しているからではないか。

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