5.“手の加わったリアリティ(みせもの)”の発信基地 ―映像の視覚効果(マジック)―

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 人通りの激しい数寄屋橋交差点沿いに建つ銀座ソニービルがオープン(1966年)して以来、毎年夏に開催している「Sony Aquarium」。40回目となる2007年のテーマは、「ハイビジョン沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」。人々が足を止め、屋外の巨大な水槽に目を奪われている。
 ソニーは何故、水族館(アクアリウム)にこだわり続けるのか。それは、あるがままの自然な海ではなく、見栄えの良い生き物を集めて造り出した「見せ物」であるから。また、世界をあるがままに再現するのではなく、カメラで切り取り加工・編集して「見せ物」を作るTVにとって、色鮮やかでクッキリした像を映し出せる最良の素材となるから。館内では、沖縄の水族館を撮影したハイビジョン映像が再生され、美しさが強調される。肉眼で捉えたリアリティをはるかに超え出ている。現実を実写した映像なのに、明るさや色の濃淡等を微調整するだけでも、リアルなCG(コンピュータ・グラフィックス)と区別がつかなくなってしまう。
 それに比し、写真の水槽はくすんで見える。“生身のリアリティ(げんじつ)”は、実はこれに近い。
写真撮影者:日本大学4年 益戸 綾美
2007年8月2日(木)17時頃
銀座ソニービル前(中央区銀座5丁目)にて撮影

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