1.“塔”台もと暗し ―近くて遠い東京のシンボル―

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 地方に住む人にとって、東京タワーに昇ることは東京に上った(訪れた)証となる。では、東京人にとって、 東京タワーとはどういう存在なのだろう。
 日頃、東京タワーに目を止めることはあっても、意外なことに行ったことがない人は多い。そびえ立つ姿を真下から仰ぎ見るよりも、遠くから眺めている方が、東京人には相応しい接し方なのだろうか。近代性のシンボルであると同時に、ここが日本の中心・東京のど真ん中であることを認識するためのランドマーク(標識)。東京人の「風景」としての東京タワー。そこには、孤高を漂わす威厳と共に、妙な親近感がないまぜになっている。
 高くそびえ立つこの鉄塔は、その足元で息ずくあまたの人々にとって、近くて遠い存在なのだ。生活世界に溶け込んでいながら、でもよくは知らない・・・。だから、“灯台下暗し”。
<写真原作者:日本大学4年 笹野智恵美>

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