13.「東京」を生きる ―養われる皮フ感覚―

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 JR新宿駅の中央通路。小田急線・京王線改札へと続き、両脇にはホームへの階段が8つある。複雑な構造の新宿駅の中で、ここは比較的容易に乗り換えができる為、広いとはいえないこの通路には膨大な数の人が押し寄せる。
 新宿駅は、1日の乗降客数が約320万人と日本一を誇る。これは、大阪市の居住人口を約60万人も上回る人数だ。でも、ここを歩く人を観察すると、互いにぶつからない様に無意識に体をひねってかわしながら、決して立ち止まることなく平然と巧みに歩いている。
 新宿を初めて体験する人なら、ここを行き交う人々は障害物となって、スムーズに歩くことはできないだろう。ところが日常利用する「東京人」にとっては、決して障害にはならない。なぜなら、彼らは他人を意識せず、流れに乗って行き先にたどり着く皮膚感覚に日々磨きをかけているから。ただでさえ長い通勤時間。混雑度も激しい。こんなところで無駄なエネルギーを使っていては、勝負なんてできっこない。
写真撮影者:日本大学2年 佐藤美菜子
2004年7月6日(火)18時頃
JR新宿駅中央通路(新宿区新宿3丁目)にて撮影

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