14.新宿西口広場 ―駅近(地下)宿泊費0円―

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 警察官が見回る中、新聞、シート、段ボール、銀マット、寝袋等を用意し、平然と横になる男達。23時を回った新宿西口地下は、彼らの宿泊所へとその姿を徐々に変えていく。
 かつてここに居を構えていた段ボールハウスの住民たちは、1998年10月に行政の強制執行でこの場を追われたが、彼らの保護を訴えるNPO法人の活動によって締め付けが軽減され、「他人に迷惑を掛けない」という暗黙のルールの下に再び戻って来た。私たちの調査では、9月13日(木)にここを寝床とした者 147名、台風が直撃した9月7日(金)には帰宅難民や宿賃が尽きたネットカフェ難民も訪れて198人に膨れあがった。両日とも23時から深夜3時までに人数が増え続け、駅が機能し始める午前4時まで心身に休息を与える。この束の間の止まり木に眠る彼らの夢は、きっと寝具や服装と同じように色々だ。
 「暗黙と沈黙の独特の世界」が形成される真夜中の新宿西口は、無言で難民を迎え入れる無料開放の「宿泊所」となり、寝息と盲人用の誘導音だけが広い地下道に響き渡る。
写真撮影者:日本大学4年 吉田 一雄
2007年7月14日(土)23時44分頃
新宿駅西口地下通路(新宿区西新宿1丁目)にて撮影

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