23.創造という名の破壊 ―「小宇宙」の中の混乱―

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 東京大空襲にも耐え忍んだ家屋が少なからず健在しているこの地区。昔ながらの下町の風情が今に伝わる、東京都は中央区の月島界隈。通りの先には、古い家屋と対照的な最先端の機能とデザインを誇る高層ビルがそびえ立つ。ついにこの界隈にも高層化の風が吹きつけてきて、初秋の柳をそよがせている。
 昔ながらの街並が残っていることには、ここの住民にとっての住み心地の良さが反映している。銀座、新宿、渋谷といった場に個性があるように、月島にも「らしさ」がある。新旧対照的な二つのものを乱雑に混在させないで、互いの個性を侵さずにせめて地区毎に棲み分けるようにすれば、たとえ「東京」全体がカオス(混沌)に 見えても、部分部分が「小さな宇宙」としての個性を強め、多様な顔をもつ豊かな「東京」になるだろうに。
 月島に行くからには、昔ながらの木造家屋でもんじゃ焼きを食べたいものだ!
写真原作者:日本大学4年 吉田周平

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