3. “パオ”のもつ不思議な力 ―気づきの社会装置―

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 存在感を放つ丸い木の骨組み。柱の隙間からは活発な議論をする人々の姿が見える。ここは、東急三軒茶屋駅直結のキャロットタワー内にあり、“暮らしのデザイン”センターとして、展示やセミナー、ワークショップ、イベント等を行う「生活工房」の一角である。
 モンゴルの移動式住居“パオ”をモチーフにしたこの会議室(通称「パオ」)は、2001年にオープンした市民活動支援コーナーのシンボルであり、世田谷区内で活動する団体であれば誰でも利用出来る。パオにある備え付けのカーテンをあえて下ろさずに使用する団体は、「作業する姿が見えたり内側の話が漏れることで、団体のアピールに繋がっている」「外へ向けての意識が働く」と語っている。
 一見異様な形状を持つパオ。その開放的な空間は、外側からの視線に対する意識と緊張感を生んでパフォーマンス性を上げ、議論の質をも高める。それを利用者自身が体感することによって、新しい「生活」様式が「工房」(=創意工夫)されていくのである。
写真撮影者:日本大学3年 岡安真司
2015年7月30日(木)13時32分
世田谷文化生活情報センター「生活工房」(東京都世田谷区太子堂4-1-1)にて撮影

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