5.Whose Space? ―“女子高生”というシールド―

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 2人の女子高生、1人は髪を束ねようとし、もう1人は洗面台に腰をかけて鏡を見つめている。ここは彼女たちの部屋ではない。何と、公衆トイレの中である。 現役女子高生や元女子高生にこの写真をもとにインタビューしてみると、「制服を着てれば怖くない。何でも許されちゃうって感じ」という意見が返ってきた。マス・メディアと共犯して作り上げた「女子高生イメージ」が、公共の場で自分達の空間を作る(外と内を区切る)シールドとして作用するようだ。「内側の人間」とは身近な重要他者(significant others)であり、お互い共感したり影響を与え合う存在である。しかしそれ以外の人間は「外側」の存在であり、「別にカンケーない」のである。だから「外側の人間」が公衆トイレに入ってこようが、いぶかしげに見つめようが、彼女たちがのぞき込む鏡にはその姿はまったく映らない。
写真原作者:法政大学2年 相沢絹代
1999年6月23日(水)
台東区上野にて撮影

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