23.都市化のはざまで ―地理学的な都市化現象に関する社会学的な考察のために―

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 新宿から程近い中野区上鷺宮地区は、かつてキャベツ畑が広がる緑豊かな地域だった。しかし宅地化の波はここにも押し寄せ、多くの畑が戸建て住宅やマンションに姿を変えて行き、今では立ち並ぶ住宅の一角にわずかばかりの畑が残る状態となった。近年、都市農家の経営にはいろいろな制約が課せられているが、写真のように地域住民に野菜を直売したり、レジャー農園にしたりして、都市での農業の生き残りを模索している。地理学的な視点に立てば、都市化は非農業的な土地利用を促すが、社会学的な視点に立てば、都市的生活様式の累積・拡大・浸透をもたらす。大都市の中のエア・ポケットのごとき農業空間の背後には、どのような社会学的な知が隠されているのだろうか。
写真原作者:日本大学3年 上村暁

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