2.脱日常 ―役割期待からの解放を求めて―

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 競馬場の中での人間模様。多くのギャンブラーに観戦者、馬を見に来る人も、人を見に来る人も、デートスポットとして活用する人や家族でピクニックする人だっている。レースに自らの人生を賭け、手に汗しながら固唾をのんで見守る人、一攫千金の夢かない喜びむせぶ人、有り金の全てをはたいてしまったのか、はたまた積もり積もった借金の多さを思っているのか、ただただうなだれる人、酒の勢いで大声を張り上げ、回りに吠え続ける人の姿もある。
 彼ら彼女らが織りなす喜怒哀楽や一喜一憂。感情がストレートに表現されるその様を見ていると、組織の中で役割期待を背負いながら、ロボットのように役割を演じ続ける「東京人」の表情とは、だいぶかけ離れているように感じる。息の詰まるような日常からの脱出願望によるのか、カタルシス(精神の浄化作用)があちらこちらで作動する。
写真原作者:日本大学4年 駒形修治

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