22.交詢社 ―紳士にのみ「開かれた」社交空間―

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 高級ブランド店が軒を連ねる銀座に社交倶楽部が存在するのをご存知だろうか?
 2004年に三代目のビルとして生まれ変わった「交詢ビルディング」の9・10階に、日本最古の社交倶楽部「交詢社」はある。創刊115年の、あの『日本紳士録』の発行元でもある。ここは1880(M13)年、福沢諭吉が「知識を交換し、世務を諮詢する」ことを目的に結成した。戦後の首相で交詢社員だった者が吉田茂から大平正芳まで8人を数え、各界の指導者がメンバーになっている。2004年末時点の社員は2,215名、60歳未満は15%に過ぎないが、社員数は前年比で117名も増加している(逝去44・退社24・入社185名)。
 入社するには社員2名の推薦を必要とし、社員であること自体が「選ばれし者」を意味する。透明な外観なのに内側が見えないこのビルからは、庶民とは明確な一線を画した交詢社のあり様が浮かぶ。「開かれた知識交換の場」は「閉ざされた、しかし紳士にのみ開かれた社交の場」として、125年間経った今も銀座に在り続けているのである。
<写真撮影者:社会学科4年 森井遵也>
2005年7月16日(土)15時半頃
交詢ビル前(中央区銀座6丁目)にて撮影

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