22.環境をデザインする心 ―JR東日本の最新鋭車両―

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 中央線のホームに並ぶ異なる車両。2008年3月までに、左から右の車両に入れ替えられる。新車両は、旧車両に比べ優先席の荷棚や吊り手、さらにホームとの段差を5cm低くするなど、JR東日本によるとユニバーサルデザイン(以下UD)を採用しているのだと言う。
  UDとは、2006年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」で、「すべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計」と謳われている。しかし、新車両はこの理念に決して適ってはいない。段差が低くなったとはいえ、車椅子では補助なしの乗降は困難だし、荷物を棚に乗せることもままならない。以前よりも改善されてはいるが、実際に利用する障害者や高齢者への配慮の足りない部分がたくさん見えてくる。
 いくら車両を部分的にUD化しても、それを取り巻くトータルな環境がユニバーサルにならない限り、未完成で不完全だ。デザインする心と力の注ぎ具合が中途半端なままのお寒い現状は、手探り状態の日本のUD事情をハッキリと映し出す鏡なのである。
写真撮影者:日本大学4年 関 勇気
2007年5月4日(金)14時頃
JR東京駅の中央線ホーム(千代田区丸の内1丁目)にて撮影

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