10.隅田川クルーズ(周遊) ―渡る川から巡る川へ―

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 隅田川を河口へ向かって走る水上バス。東京都公園協会が運行する「両国・お台場クルーズ」だ。大川端リバーシティの高層マンション群を見晴らし、20名弱がデッキに立つ。
 水上バスに乗って、両国(起点)→お台場→両国→浅草(桜橋)→両国(終点)と周遊すると、所要時間が2時間強、料金は2千円。北端の桜橋発着所から南端のお台場までの約13kmの間に、実に15もの橋が架かる。隅田川は「橋の博物館」と言われるほど、数が多くデザインも多種多様で、くぐり抜ける橋を下から眺めるだけでも面白い。
 ところが、意外にも隅田川に橋が沢山架けられるようになったのは、関東大震災(1923年)以降のこと。江戸時代には、幕府が防衛上の観点から橋を極力架けなかったので、人々は「渡し船」を利用して向こう岸へと渡った。船が橋の役割をずっと果たしていたのだ。
 橋は川で分断された陸地を結び付け、水上交通は陸上交通に取って代わられた。その結果、隅田川は今、船で「渡る」川から「巡る」川(観光資源)に転換しているのである。
写真撮影者:日本大学2年 河村 雄一
2008年7月20日(日)15時20分
清洲橋(中央区日本橋中洲)にて撮影

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