2.地下から始める企業型農業 ―派遣の「種蒔き」―

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 ここは植物園ではない。東京のど真ん中の地下2階にある農場である。太陽光の代わりに発光ダイオードを使い、土の代わりに培養液を用い、環境条件を人工的にコントロールして、稲やトマト、レタス、サラダ菜等の農作物を「製造」する。
 近年、農業の分野でも「規制緩和」が進み、企業の農業参入全面解禁の日も遠くない。そこで、人材派遣業最大手のパソナが「機を見るに敏」な動きを見せた。2005年2月、1億8千万の総工費をかけて、この「PASONA O2」をオープンさせた。天候に左右されない。生育が「激しい」ので生産力も高い。だから、儲かる。泥臭くない。作業も重くない。農薬も不要。だから、働く条件が良い。農業の近未来像を毎日ここで「上演」しているのだ。
 農業への企業参入の地ならしを人材派遣企業が先導し、新規派遣の種蒔きも同時に行う。新聞やTV等のメディアが一斉に飛びつき、連日100名前後の人々が訪れるようになっている。農業が企業戦略に絡め取られていくのか? それを占う格好な事例である。
<写真撮影者:社会学科4年 山田貴大>
2005年7月19日(火)16時半頃
大手町野村ビル(千代田区大手町2丁目)にて撮影

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