11.金喰い橋 ―そして誰も使わなくなった…―

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 JR武蔵小金井駅近くの「開かずの踏切」として有名となった緑町踏切の歩道橋は、国の一大事業として進むJR中央線高架化工事の影響で作られた。JRや行政が住民の苦情を考慮して対策を講じたが、踏切閉鎖時間の長さの為に苦情が絶えず、マスコミ報道も激化した。踏切事故が多発したこともあって、2003年11月に歩道橋の設置が決定され、わずか3ヵ月後の2004年2月10日にはエレベーターまでついた最新式の歩道橋が完成した。
 しかし仮線への切換の為に3本に増えていた線路が2本に戻った今、ここは開かずの踏切ではなくなり、わざわざこの大袈裟な歩道橋を利用する人は少ない。
 都市計画の中に無理矢理ねじ込まれた無計画な計画。東京都建設局によると2億5千万円もの税金をかけて作られた歩道橋だが、高架化工事の進行により2006年の夏には早々と撤去される運命にあるという。今や開かずの踏切時代の残骸と化したこの橋は、金を散々食い散らかした挙げ句、静かに最期の時を待っている。
<写真撮影者:社会学科2年 小田容志江>
2005年7月5日(火)11時半頃
JR中央線緑町踏切(小金井市緑町5丁目)にて撮影

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