42.足を運ばせるための仕掛け(1) ―六本木ヒルズの太極拳イベント―

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 台に立つ男性を中心に、軽装の男女が取り囲んでいる。六本木ヒルズではオープンした2003年から、「朝の太極拳」というイベントが無料で開催されている。7回目を迎える2009年は8/1(土)?15(土)の14日間(8/4を除く)、毎朝7時半から約45分間、400-500人が六本木ヒルズアリーナに集結した。TVやラジオなどで紹介されることもあって、遠方から参加する人も多く、木更津からマイクロバスで駆けつけた団体(28人)さえいたくらいだ。
 しかし、イベントを主催している森ビルの思惑は別のところにあった。参加者にはスタンプカードが配布され、スタンプの個数に応じてヒルズ内で使える割引券になったり、500円単位のクーポン券と引き換えられるという仕掛けが用意されている。
 夏休みのラジオ体操のように毎朝継続することを、消費行動にも振り向けさせ、集客力の落ちる午前中への対策にもするという意図が見え隠れしている。企業主導のイベントへの参加者は講師の手本を注視するが、森ビルの老獪(ろうかい)さには気づかない。
写真撮影者:日本大学4年 上野はるか
2009年8月2日(日)7時44分
六本木ヒルズアリーナ(港区六本木6丁目)にて撮影

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 一九六六(昭和四十一)年、建国記念の日、体育の日とともに国民の祝日として追加制定された敬老の日。この年、六十五歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合は6・5%だった。年々上昇し三年前に、ついに20%、つまり五人に一人となった。
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写真撮影者:戸上航一
掲載日:2008年9月17日

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