2.安酒と煙草好きが吸い寄せられる都心スポット ―有楽町の高架下で0次会?―

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 「ニッカウヰスキー」の「ヰ」の字が違っていたり、市内局番が3桁のままだったりする看板、薄汚れ雨漏りしそうなひさしの下で、自販機が何台も並んでいる。その前には、15,6人ばかりが歩道を塞ぐように立ち、その多くが煙草を吸っている。有楽町駅を出て直ぐ、JR線の高架下で30年以上も営業を続ける立ち飲み屋「食安商店」である。携帯灰皿を貸し借りしながら、酒と煙草を楽しむ人が後を絶たない。銀座・丸の内・内幸町などに囲まれたおしゃれで高級感あふれるエリアの中で、一際異様な空気を漂わせている。
 私たちのインタビューに応じた常連の女性は、「初対面の人とも気取らずに飲みかわし、またねと言える環境」と評した。また、ここで軽く引っかけてからちゃんとした店に繰り出すと答えた人も多く、いわゆる「0次会」で使われている実態が浮かび上がった。
 ともかく酒を安く飲み、煙草を気兼ねなく吸えるスポットが、都心で長年にわたって維持され続けている事実は、こうしたニーズが東京に確実に存在することを表している。
写真撮影者:日本大学4年 河合正悟
2016年7月17日(日)17時頃
食安商店(千代田区有楽町2-4-3)にて撮影

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